民法改正のポイント

民法

ご存知の方も多いと思いますが。2017年5月26日、民法の一部を改正する法律が成立し、同年6月2日に公布されました。今回の改正は2020年4月1日より一部の規定を除き施行される予定です。具体的に何が変わったのか重要なポイントを解説していきたいと思います。

 

 

今回の改正においては民法の債権に関する規定の見直しが行われました。この債権に関する規定は民法制定以来120年間、実質的な見直しがないままになっていたもので現代の社会情勢に合った形で国民にわかりやすいものとするため改正が行われました。

 

様々な改正が行われた中でも特に重要なのは以下の4点です。

 

  1. 時効に関する見直し
  2. 法定利率に関する見直し
  3. 定型約款規定の創設
  4. 個人保証の制限

 

まず時効に関する見直しについてですが、

消滅時効に関して改正前にあった「権利を行使することができる時」から「10年間」行使しなければ消滅するというものに加えて「債権者が権利を行使できることを知った時」から「5年間」行使しなければ消滅することとされました。

通常、契約を行うときには債権者は権利を行使できる事を知っているのが一般的なので実質的には今回の改正は消滅時効の期間を5年に短縮したものと言えます。

 

また例外的な消滅時効の見直しも行われました。職業別の債権、定期給付債権の短期消滅時効の定めは廃止され、原則的な消滅時効が適用され、定期金債権に関しては時効の起算点が見直されました。

 

 

次に法定利率の見直しです。

現行の民法では法定利率は年5%です。これは実勢金利には関係無く5%で固定でした。

今回の改正では法定利率を年3%に引下げ、更に今後は実勢金利を参考にしながら3年ごとに利率を見直す変動制が採り入れられました。これにより実勢金利の動向次第では利率が予想以上に上ったりする可能性もあるため利息について予め合意しておく事がこれまで以上に重要になります。

 

さらにこれまで商人間の取引など商行為について生じた債権に関しては、民事法定利率よりも高い6%の生じ法定利率が適用されていましたが、これは廃止され民事法定利率と同じ年3%の変動制が適用されることとなりました。

 

 

続いて、定型約款規定の創設です。

現在の市民生活は電気・ガス・鉄道・航空・インターネットなどで広く適用されている約款によって規制されています。

改正後の民法においては「ある特定のものが不特定多数の者を相手方として行う取引で、その内容の一部または全部が画一的であることが双方にとって合理的なもの」である定型取引において契約の内容とすることを目的として特定の者が用意した条項の総体を定型約款と定め、この定型約款について、定型約款を契約の内容とすることに合意した場合には個別の条項にも合意したとみなされることが定められたり、内容の制限や内容を変更のする際に満たすべき要件などが定められました。

 

 

最後に個人保証の制限についてです。

現行の民法では保証契約に関して書面ですることとしていますがそれ以外については特に定められていません。

改正後の民法では、事業のための貸金等債務を主債務とする保証契約を個人事業者が結ぶ場合には公正証書による保証意思の表示が必要とされました。この公正証書は契約締結前1ヶ月以内のものである必要があり、さらに作製方式も厳格に定められています。

 

そのほかにも、貸金等根保証契約でない個人の根保証契約に関して極度額の定めがない場合には契約が無効になる事などが定められました。

 

 

 

本日ここに書いたものは改正の一部です。もっと詳しい内容が知りたい方はこちらの法務省のページをご覧ください。